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日本ベンチャー学会誌No.14 要旨 論文一覧

VENTURE REVIEW 日本ベンチャー学会誌No.14 要旨
September 2009

研究論文

鈴木 勘一郎(立命館アジア太平洋大学)
中堅中小企業における理念経営に関する研究

 本研究は、日本の中堅中小企業における「経営理念」とその作用メカニズム、すなわち「どのような経営理念が、どのような形で経営成果に影響を及ぼすのか」についての実証的研究である。理念の浸透と他の要素との関係を確認するために、「独立変数→媒介変数→目的変数」という2段階のロジックを設定し、日本の中堅中小企業96社の経営アンケート・データに基づいた理念経営に関する4つの基本命題を確認した。第1段階(独立変数→媒介変数)では、理念内容並びに市場環境要素と理念浸透度との間には有意な関係が見出せなかった。一方、理念浸透努力並びにHRM要素などは有意な相関関係が示された。続いて第2段階(媒介変数→目的変数)の分析では、理念浸透度と創造的風土並びに財務業績(ROA)との間に統計的に有意な影響が確認されたが、ROSとの関係は有意ではなかった。全体としては、理念浸透努力とHRM要素によって理念浸透度が高まり、それが創造的風土と財務業績にポジティブな影響を与えるというメカニズムが概ね確認されたが、最後にいくつかの研究課題が提起された。

キーワード:企業文化、組織文化、経営理念、理念経営、理念浸透度

福嶋 路 (東北大学大学院)/権 奇哲 (東北大学大学院)
資源創出理論序説

 いくつかの中小零細ベンチャー企業や地域は経営資源の不足という問題に対し、これまで独創的かつ革新的な方法で経営資源を創出しそれを活用している。このような資源創出という現象に対して、既存の資源アプローチと呼ばれる理論ではどちらかというと所有権をもつ資源を対象に、資源の用途を所与のものとし、またその活用に分析の焦点が当てられており、「資源創出」という現象にまで目を向けた研究はそれほど多くない。本研究は 20の資源創出の事例分析や既存研究などから、「資源の利用可能性」「視点の転換」「資源の組合せ」といった視点を抽出し、資源創出という現象を検討するための新たなフレームワークを提示した。最後に今後、資源創出をより明らかにしていく上で議論すべき論点を提示した。

キーワード:資源創出、資源の利用可能性、視点の転換、資源の組合せ

事例研究論文

中西 穂高 (東京工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科)
行政アウトソーシングによる地域活性化のアクション・リサーチ

 今日、地方自治体は、厳しい財政状況に対応して行政効率化を進めると同時に、地域経済の活性化を図ることが求められている。しかしながら、行政効率化による支出の削減は地域経済に悪影響を与えることから、行政効率化と経済活性化の同時達成は難しい課題である。筆者は、行政事務事業を地域の企業、NPO等にアウトソーシングすることにより行政効率化とともに地域活性化を図る「地域活性化モデル」を提案するとともに、高知県庁において事務部門の最高責任者としてモデルの実践、改良に取り組み、アクション・リサーチのかたちで研究を進めた。その結果、同モデルには、雇用創出など地域活性化に効果のあること、官民協働の取り組みを活発化させる効果のあること、人件費を中心とした行政コストの削減や行政サービス向上などの行政効率化効果のあることが明らかになった。本モデルは、高知県における実践で有効性が確認できたが、全国どこの自治体においても実行可能なモデルである。

キーワード:行政サービス、アウトソーシング、地域活性化、行政改革、地方自治体

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