学会誌

大企業にとってのベンチャー企業との提携の成功要因

 競争と変化が激しい昨今の経営環境にあって、大企業にとって、オープン・イノベーションの一環としてベンチャー企業と提携し、ベンチャー企業の研究開発力を活用することは極めて重要になっている。ところが、日本の大企業は、欧米と異なり、ベンチャー企業との提携に積極的ではない。
 その原因は、創発戦略のような日本の大企業に典型的な経営管理の型がベンチャー企業との提携の障害になるためである。すなわち、ベンチャー企業と提携することは日常の業務と比較して特殊であり、その特殊性ゆえに日本の大企業が通常行なっている経営管理の型では遂行し得ないのである。
 そこで本論は大企業とベンチャー企業との提携の成功事例を分析し、日本の大企業にとってこの問題を解決する一つの有効な手段は、意図的に提携の戦略的位置付けを明確化することであることを論じる。

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