学会誌

起業意識と経験が起業パフォーマンスにあたえる影響

 職業キャリアに関しては個人のキャリア形成と企業による従業員のキャリアマネジメントに焦点があたることが多いが、現在はキャリアが多様化しており、転職や起業といった企業を超えたキャリアについても注目することが重要である。起業家の多くは前職が常勤の勤務者であり、起業家であっても職業キャリアは組織内での経験が大きく影響していると考えられる。組織内のキャリア形成については、専門職やマネジャーのキャリア形成、熟練化についての研究はあるが、起業家についてのものは少ない。また、経験からの学習においては、経験から学習するという態度や意欲が重要である。
 本稿では、企業勤務経験のある起業家の起業意識と職業キャリアが起業パフォーマンスにどのような影響をあたえているのかをあきらかにするため、新規開業者を対象とした調査データの2次分析を行った。分析の結果、起業意識の起業パフォーマンスへの影響、管理職経験や前職企業規模といった経験の違いが起業パフォーマンスに影響をあたえることが示唆された。

↑ページTopへ