学会誌

事業システムの革新とその地域への影響

 本稿では、名古屋市で創業し、葬蔡業においてイノベーションを起こしたティア社の事業を、既存企業と比較し、分析を行う。
 サービスのイノベーションには、新たなサービスの開発によるものと、サービスの内容はこれまでと大きな違いがないが、それを新しい事業システムによって展開する「事業システムのイノベーション」がある。ティアは、葬蔡業において、「事業システムのイノベーション」を起こした企業である。
 本稿では、既存企業とティアの事業システムの違いを、財(サービス)、資本、労働、情報の取引の観点から分析を行う。
 企業家の輩出やイノベーションの生起の頻度、その受容と普及の速度については、地域間で大きな差異が存在する。日本の多くの地域では、企業家の輩出が停滞し、イノベーションが生起しにくい状況となっているが、そのような地域においても、「事業システムのイノベーション」の可能性が存在することを、ティアの事例から提示する。

↑ページTopへ