学会誌

大企業との共同技術開発において中小企業に求められる連携能力

 本研究は、中小企業が大企業と共同技術開発を始めるために中小企業が備えるべき特定の能力を、連携能力(cooperative capabilities)と名付け、その構成要素を明らかにすることを目的としている。実証分析の対象として、大企業と中小企業との共同技術開発を仲介する大阪のマッチング事例を取り上げた。研究方法としては、まずマッチングに参加する中小企業を、大企業との共同技術開発に関する技術ミーティング(TM)を実施できた中小企業グループ(TM企業)と、そうでないグループ(非TM企業)の2 つに分ける。そして、両グループにアンケートとインタビュー調査を行い、結果を比較する方法を採った。合わせて、連携先の大企業にもインタビュー調査を行った。その結果、連携能力のコアとなる要素は、大企業にはない技術と、目先の課題だけでなく潜在的課題も含めて、付加価値の高い解決策を提案できる能力であることが分かった。

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