学会誌

初期流動的段階におけるベンチャーの動態的企業家能力

 本稿は、日本の大学発ベンチャーの状況分析を行うことによって、多くの大学発ベンチャーが移転資源のビジネス価値を創出できていない初期流動的段階にあると指摘する。資源ベース理論とダイナミック・ケイパビリティの理論を概説したうえで、初期流動的段階を乗り越えるための動態的企業家能力の重要性について述べる。この主張を検証するために、市場プル型のA社と技術プッシュ型のB社を選出して分析を行う。かくして、資源動員力、革新力、統合力がビジネス価値の創出において機能する論理を解明し、動態的企業家能力の理論構築を試みる。

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