学会誌

買収後の企業再生を成功に導くケイパビリティ

 企業買収は企業が成長を遂げるにあたっての有効な手段の1つである。昨今の経済状況を反映して買収対象企業の多くは再生が必要なものであり、買収後の企業再生の成功要件を明らかにすることは実務的にも学術的にも意義あることと言える。しかしながら、企業再生の戦略研究は約30年の歴史があるものの未だに明らかになっていないことが多い。
 本論文では買収後の企業再生戦略の理解を深めるために、日本電産が手掛けた企業再生の4事例を用いて分析を行う。その分析にあたっては、企業再生戦略の先行研究を踏まえ、そこにケイパビリティ・パースペクティブの観点を導入する。これにより買収後に行われる企業再生をいかに成功に導くかの理解を深め、また、今後の企業再生の戦略研究発展の土台となる分析視点を提示することを目的とする。

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