学会誌

金融危機でのバイオベンチャーの研究開発継続

 本稿では、資源制約が大きく且つ製品の上市まで10年以上かかる創薬系バイオベンチャーが、金融危機などのシステミックショックに対して研究開発を継続するための耐性向上に向け、リアルオプションの応用可能性を検討する。
 本稿の構成として、先ず、バイオベンチャーの研究開発継続に向け投資環境の現状分析を行ない、続いて、リアルオプションの決定留保機能に関する基礎理論を検討する。
 その後、仮想的な医薬開発プロセスを前提にベンチマークとしての単独開発と共同開発とを途中で選択できるシーケンシャル・コンパウンド・スイッチングオプションによる柔軟性の価値を考察する。
 さらに、当該データを基に、市場・共同開発のリスク(ポテンシャル)に関する選択マッピングを試み、各リスクに対応したNPVの推移の3次元化や、ボラティリティとの関係のグラフ化によって、指標による意思決定の支援を目指す。

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