学会誌

ウェブサイト活用による中小企業の技術マーケティング

 本研究は、中小企業に必要な技術マーケティングとその具体策としての潜在顧客から”探し当てられる”戦略の効果と課題について論じたものである。研究方法として最初に命題を設定し、予備的アンケート調査を行い、課題を抽出した。次にインタビュー調査によって課題の内容を具体的に探り、新たな知見を得る方法を採った。設定した命題の第一は自社技術を「見える化」して、潜在顧客から「探し当てられる」戦略の有効性である。第二は潜在顧客から「探し当てられる」手法としてのウェブサイトの最適性である。第三は模倣リスク対策と顧客の秘密情報保護の問題である。これらの命題を検討した結果、ほぼその妥当性が認められたほか、課題に関する新たな知見が得られた。それらは次の通りである。第一は競合企業による模倣リスク対策としての製造工程の秘匿の必要性である。第二はBtoB取引のため生じる自社技術の説明困難性と顧客の限定性である。第三は顧客の問題を解決する提案力及びそのための社内体制整備の必要性である。
 結論として、ウェブサイトは中小企業が潜在顧客から「探し当てられる」ためには最も効果的な手段であると同時に、克服すべき複数の課題が存在することが明らかとなった。

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