学会誌

新事業開発の初期段階におけるMBA 教育の役割

 企業の持続的発展のためには、コア事業の戦略的転換である新事業開発が必要である。新事業開発を成功させるためには、製品や事業システムにおけるイノベーションが必要である。そのようなイノベーションを実現する存在が企業家であり、企業家による活動がアントレプレナーシップである。
 本稿では新事業開発の初期段階が成功し、アントレプレナーシップが実現されるためにどのような条件が必要かを明らかにするために、大学院における社会人MBA 教育の実践事例を紹介する。電子部品販売業を経営する企業家が、新事業開発を行うことを目指し、大学院に入学し、修士論文を作成することにより新事業開発が促進された事例を紹介し、新事業開発における論理的思考力とネットワークの重要性を示す。そしてそのような論理的思考力とネットワークが大学院教育、特に修士論文の作成を目的としたゼミナールにより提供され、新事業開発の成功確率が高まった事例示すことにより、新事業開発の初期段階におけるMBA 教育の役割を検討する。

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