学会誌

同族による経営の維持と終焉の論理

 本研究の目的は、第一に、戦略グループ研究の知見を活用し、新医薬を主とするわが国の主要企業における、1970 年から2010 年までの戦略変化と同族関与の変化の類似性を調査・分析する。第二に、その結果をもとに同族企業研究において見過ごされてきた分析視角を提示することにある。
 明らかとなる事は、第一に、輸入医薬品が同族的戦略志向性を支える安定的な収益源となっていた。第二に、海外企業の対日戦略強化により、収益構造の安定化をもたらした輸入戦略の選択が難しくなった。最後に、規模の大きな企業は輸入から輸出へと転換する過程で同族関与が終焉する傾向がみられた。

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