学会誌

高校生の持つ起業家とベンチャー企業へのイメージ

日本で起業活動が低調な理由に、起業家が尊敬されない社会であることがしばしば指摘される。こうした指摘を踏まえ、起業家教育を導入する高校で、非受講者も含む全校生徒172 名(うち、受講生徒22名)を対象にアンケート調査を行ったところ、高校生らは総じてポジティブな印象を起業やベンチャー企業に対して持っていた。しかし、その敬意は、キャリアの選択肢としての起業に結びついているわけではない。
一年後、改めて同じ対象にアンケート調査を行うと、起業家教育の受講生徒では7 割が起業への意欲や自信を低下させていた。しかし、インタビュー調査では受講生徒の多くは、創業メンバーとしてベンチャー企業に参画することについて賛同した。疑似的とはいえチームで成功体験を積んでおり、そのことが実社会での創業にも活かせると考えられているようである。
「起業社会」を実現するためには、多くの「起業理解者」「創業支援者」を育成することが必要である。今回の調査対象となった起業家教育プログラムは、この「理解者」や「支援者」の育成に寄与したといえる。

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