学会誌

イノベーションの将来予測のための新製品普及モデルと4タイプの研究


イノベーション普及の研究は、プロダクトライフサイクル論・イノベーション普及過程論など各種あるが、これらは過去の現象を描写したものであったり、特定のターゲット消費者に調査を行った限定的な普及プロセスの分析であったりと、多様化する消費者を顧客と考え、環境が目まぐるしく変化するビジネスの世界では再現性が困難で実用化していくには課題がある。
本稿では、イノベーションを伴う製品・サービスを新製品とし、この売り上げ予測をサポートするモデルを新製品普及モデルと定義した。そして普及モデルの推計により普及タイプを分類し、戦略提言を客観的にするため、主に日本の新製品やサービスの限定した24事例(15社と9産業)をモデルに当てはめ分析を行った。
その結果、具体的なモデルの推計値を用いることによって、これら製品とサービスの採用者の特徴が確認でき、将来の普及予測を4タイプに分類できることが分かった。そして、分析結果は経営戦略のKPIとして、ベンチャー企業や大企業の新規事業開発において、初期マーケティング活動の投資規模や追加投資をするかどうかなどの判断、次の新製品やサービスの最適な投入時期の推測に有効な分析であることも検証できた。ベンチャーキャピタルが投資した企業の投資後のモニタリングにも有効となろう。

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