学会誌

創薬ベンチャーにおけるオーファンドラッグ戦略


医薬品の開発には、莫大な費用と長い年月を要するため、創薬ベンチャーは、製薬会社との提携によって当座の収益を得ながら研究開発を行うことが一般的である。しかし近年では、とりわけ米国を中心に、創薬ベンチャーがある程度のところまで研究を進めた後、製薬会社が当該ベンチャー企業を買収し、開発を続行するという分業が主流になっている。そして、買収された創薬ベンチャーの企業家は、連続起業家として、再度創薬ベンチャーを起業するといった起業の支配的経路が確立されつつある。しかし、支配的経路が確立されつつあるからこそ、多様なベンチャー企業の経路を捉え、考察することが企業家研究においては重要であると考える。そこで本稿では、制度的戦略の概念を用いて、創薬ベンチャーを考察する。考察を通じて、製薬・バイオ産業における新たな創薬ベンチャーの経路を明らかにする。

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