学会誌

コーポレートベンチャリング形態の選択に関する考察


本研究では、大企業の新事業創出においてコーポレートベンチャリング(CV)形態の選択に影響を与える要因を事例研究により明らかにすることを目的としている。研究方法は、ANAホールディングスの完全子会社であるLCCのバニラエアの事例を用いて分析を行っている。バニラエアは、これまでに複数のCV形態の変遷を辿っており、単一事例研究でありながらも、変数を排除した考察ができる。
結論として、CV形態の選択では3つのことが明らかとなった。第1にCV形態の選択には、CV形態の長所・短所が直接的影響を与えている。第2にCV形態の長所・短所には、新事業の範囲と新事業の活用資源(内部・外部)が影響を与えている要因となっている。第3にCV形態のコンテクストは、母体企業をCV形態の選択へ導くベースとして、CV形態の選択に影響を与える要因となっている。
今後はこれらの研究結果を踏まえ、複数事例研究や定量研究による研究の堅牢性を高めていきたい。

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