学会誌

バイオベンチャーの経営チームによるコア技術創出


 ベンチャーの起業は、一人で行うよりも複数の異なる専門性や性質を持ったメンバーがチームを形成し、行う方が望ましいとされる。本稿は、高度な科学的専門性が必要とされ、バイオベンチャーの成長や業績にも影響を及ぼすとされるコア技術の創出について、経営チームの貢献を明らかにすることを目的としている。経営チームと組織の成果については、経営上層部視座に基づく研究が多く行われているが、役割分担や相互作用などの具体的プロセスが不明であるとの課題も指摘されている。事例として、最先端の創薬研究を行う株式会社ボナックが、起業時に創出した核酸医薬プラットフォーム「ボナック核酸」を取りあげ、その生成過程をインタビュー調査により詳細に分析した。その結果、優れた科学者の貢献に加え、ビジネス面を役割とする経営者が、科学者との相互作用を通じて、コア技術の創出において重要な役割を果たしていたことが明らかとなった。

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