会長挨拶

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 金融危機を契機とする経済不況に続いて起こった東日本大震災によって、我が国の経済は未曽有の苦境に直面しています。この間、我々が目にしたことは、危機の中で十分に機能しえない既存の組織や制度とリーダー不在という状況でした。

 このような状況において必要となるのが、既存の秩序・軌道を抜け出て、新結合を行うことで経済の新たなエンジンを動かすことができるシュンペーター的企業家活動であります。マクロ的にみると、残念ながら、この間の企業家活動の水準は必ずしも高いとはいえない状況ですが、ミクロのレベルでは、産業のみならず福祉、環境、教育等の多様な分野で新しい企業家活動の芽生えを見ることができます。

 日本ベンチャー学会の創立目的として「ベンチャーブームを単なる一過性のブームに終わらせないためには、企業家活動の理論的研究を深める必要があり、それをふまえた政策提案」(設立趣意書)が謳われています。このような苦境の中でこそ、創立の原点に立ち返り、新しい企業家活動の芽生えを企業家文化の醸成へと結実させ、活力ある社会の再構築に貢献していくことが本学会の使命であると考えます。
 
 日本ベンチャー学会は、研究者のみならず、企業家、ベンチャーキャピタリスト、公認会計士、弁理士、行政機関、既存企業で新規事業創造に関わっている人々、企業家志望の学生等、多様な人材が結集しているユニークな学会です。上記の使命を果たしていくためには、本学会に集う多様な人材および他の学会や機関をネットワーク化しながら、本学会がイノベーションの創出を担う企業家活動の社会的プラットフォームとして機能することが求められています。企業家活動の促進こそが、地域、経済、社会の閉塞感を打ち破り、躍動する経済社会創造の源泉であると考えるからです。

 本学会は、「思考する学会」として企業家活動を総合的、学際的に研究するセンターとなるとともに、研究成果を多様な経験と融合させることによって企業家活動の知恵が発現する「行動する学会」であることを目指して行きたいと思います。

2012年1月  金井 一賴  日本ベンチャー学会会長

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